この秋、新曲「居酒屋 花いちもんめ」を出しました。久々にド演歌っぽいですって? じっくり歌える曲なのは確かですね。「花いちもんめ」ってすごいかわいらしい響きがあるけど、どういう内容か知ってますか?

 昔、女の子が売られていく様子を歌ったもの。悲しさや寂しさを背負いながらも、強く生きていく女性をこの歌で表現したい。

 昭和60年に出した「紫陽花ばなし」の続編ですかといわれますが、その曲を作詞していただいた吉岡治先生と話しているときに、「あのときの女の人はどうしたんだろう。幸せになれたのかなあ」という話からたまたまできた歌です。

 大みそかのNHK紅白歌合戦の出場が決まりました。今年は「スキウタ」アンケートをして私の曲がランキングに入っていましたが、この「居酒屋 花いちもんめ」も、皆さまの、これからのスキスタになれるよう頑張りたいです。

 日本女性の美しさって「耐え忍ぶ」とかといわれてますよね。でも、演歌を、そこだけに限定すると、今の時代の人たちに共感してもらえるか疑問です。「津軽海峡冬景色」は今から28年前に出した歌ですが、たぶん女性が主張し始めた初めての演歌なんじゃないですか。

 私の歌に「殺してもいいですか」なんて、女の本性をストレートに出したフレーズが多いのはなぜか-。自分ではわかりませんが、私は自分自身に素直に生きたい-と思ってます。人間、「ま、いっか」という気持ちを持つと困難を通り抜けやすいのですが、私はこの「ま、いっか」という言葉は、自分に対して使いたくない。

 ただ、子どもができてからは、はっきりとはわかりませんが、自分のなかでは一つのけじめができたのは確か。10代で歌手になったころは、歌にしがみついて体当たりする感じで、自分が何かに守られている気持ちを歌っていた。

 それが、今は自分が子どもを守らなくてはいけない。攻めだけではなく、「待つ歌」、「支える歌」も歌えなくてはいけないと思うようになってきた。今は、いろいろなジャンルの歌を歌いますね。

 初対面の方に、「テレビの印象と違って、おっとりしている。男性にモテるのがわかった」なんて言われることがたまにあるんですが、自分ではそんなことまったく感じてないですよ。

 白黒はっきりしているし、スポーツは大好き。自分では男っぽいと思ってますよ(笑)。

=つづく

■いしかわ・さゆり 本名・石川絹代。昭和33年1月30日、熊本市生まれ。堀越学園在学中の昭和47年、15歳でフジテレビ系ドラマ「光る海」に出演、翌年「かくれんぼ」で歌手デビュー。52年「津軽海峡冬景色」で紅白初出場。その後も、「天城越え」や「夫婦善哉」がヒット。56年に写真家と結婚。59年に長女を出産、平成元年に離婚した。今年10月、「居酒屋『花いちもんめ』」(テイチク)、11月にベストアルバム「石川さゆり大全集」(同)をリリース。 

ZAKZAK 2005/12/10
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