(1)賀詞(新年をお祝いする言葉)
年賀状には、頭語と結語や、時候の挨拶等は必要無く、新しい年を祝う言葉を書いて送ります。
<例>
・謹賀新年
・恭賀新年
・謹んで新年のお慶びを申し上げます
・明けましておめでとうございます
・迎春
・新春
<おめでたい言葉が使いにくい時例>
・謹んで年始のご挨拶を申し上げます
・謹んで初春のご挨拶を申し上げます
または、時期をずらして寒中見舞いを出しましょう。
*「早春、明けましておめでとうございます」など同じ年賀状内に二つの賀詞を入れないようにしましょう。
(2)昨年の感謝、年越をお祝いする言葉
<例>
・旧年中のご愛顧を心よりお礼申し上げます
・昨年は大変お世話になり、ありがとうございました
・皆様幸多き春をお迎えのことと存じ上げます
*疎遠になっている友人には
「ご無沙汰していますが、お元気でいらっしゃいますでしょうか?」
と、近況を尋ねる一文でも可能です。
(3)近況を報告する言葉(ビジネス年賀状では省略が可能です)
・ご報告が遅れて申し訳ありませんが、昨年○月に転居致しました。お近くにお越しの際は、是非お立ち寄り下さい。
・昨年○月に転職をして、希望に満ちた新年を迎えております。
*相手の事を思いやる言葉を8割、自分の話は2割程度に抑えるのがマナー。
(4)今年の抱負、新しい年のお付き合いや支援をお願いする言葉
・昨年の経験を生かし本年もご期待に添える様精進いたす所存でおりますので変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
・未熟者ですが○○様はじめ先輩方に一歩でも近づけます様精一杯仕事に励みますので、本年もご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
(5)相手の健康、幸福、発展を願う言葉
・貴社の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
・皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申しあげます。
(6)日付
・平成○年 元旦
・平成○年 一月一日
*先方に届くのが元旦に間に合わなくても元旦の日付を書いて構わないとされていますが、出し遅れた場合は「新春 吉日」、松の内を過ぎたら「平成○ 年 一月」にかえた方がより良い印象です。また、「一月一日 元旦」や「正月 元旦」は意味の重複となりますので間違わない様にしましょう。
(7)住所、差出人名、連絡先など
感謝を伝えて愛される年賀状の書き方:ポイント
・年賀状はハガキであるため他人にも見られてしまう可能性があります。書く内容には旅行で家を空ける予定など書かない様にしましょう。
・仕事の連絡など新年の挨拶以外の返事を必要とする内容は書かない方が良いでしょう。
・「去る」「滅びる」「絶える」「衰える」「破れる」「失う」「枯れる」「倒れる」「病む」などの縁起の悪い忌み言葉は避けて「昨年」「旧年」に言い換えます。
・印刷の定型文だけでは味気なく、ひとこと添え書きがあると嬉しいもの。ご縁を繋ぐ効果もありますので是非加えてみて下さい。
・松の内(一般的には7日まで、地域によっては15日まで)を過ぎてしまったら寒中見舞いとして、お礼の言葉と遅れたお詫びを書きます。
脱定型文!印象に残る年賀状に
ステップ2で年賀状の基本構成をつかんだら次は言葉選びです。年賀状の挨拶となる決まり文句を「賀詞」といいますがお届けする方によって自分の立場 は親族、友人、上司、部下、取引先など変わりますので、相手によって使い分けをしていくのが理想です。もし使い分けが出来ない場合は、誰に対しても失礼の ない賀詞を選んでいきます。
また、賀詞それぞれ与える印象が違いますので具体的に賀詞の種類をご紹介していきたいと思います。自分らしい賀詞を選んで素敵な年賀状にしていきましょう。
賀詞の種類
一文字の賀詞→部下、同僚、目下の方、友人へ(目上にはNG)
「寿:おめでたいこと、祝い」
「福:幸せ」
「賀:祝い」
「春:新年、年の初め」
「禧:喜び」
「吉:めでたい」
「和:なごやか」
「慶:よろこぶ」
二文字の賀詞→部下、同僚、目下の方、友人へ(目上にはNG)
「賀正:正月を祝う」
「迎春:新年を迎える」
「寿春:新年を祝う」
「初春:新年、年の初め」
「頌春:新年をたたえる」
「慶春:新年を喜んで祝う」
「賀春:新年を祝う」
「喜春:新年を喜ぶ」
「献春:春をたてまつる」
「芳春:春かおる」
「慶賀:喜び祝う」
「萬福:多くの幸福」
「祥鳳:めでたい事が起きる前触れ、兆し」
四文字の賀詞→上司、取引先、目上の方へ(目下にもOK)
「謹賀新年:謹んで新年をお祝い致します」
「恭賀新年:うやうやしく新年をお祝い致します」
「謹賀新春:謹んで初春をお祝い致します」
「恭賀新春:うやうやしく新春をお祝い致します」
「恭賀新歳:新年を丁重にお祝い申し上げます」
「敬頌新禧:うやうやしく新年の喜びを称え申し上げ奉ります」
「慶禧萬福:良い事が多くあるようお祈り致します」
「新春万福:新しい年に幸福の多い事をお祈り致します」
「笑門来福:笑顔でいられるよう幸福をお祈りします」
「春光楽楽:春の光はうきうきして楽しい(新春のお喜びを申し上げます)」
「嘉祥陽春:美しくあたたかな春をお喜び申し上げます」
「永寿嘉福:長寿と幸運をお祈り申し上げます」
文章の賀詞→万人向け
「明けましておめでとうございます」
「新年おめでとうございます」
「新春のお慶びを申し上げます」
「謹んで初春のお慶びを申し上げます」
「謹んで新春のご祝詞を申し上げます」
「謹んで年頭のご祝詞を申し上げます」
「謹んで年始のご挨拶を申し述べます」
*「新年あけましておめでとうございます」は、賀詞の重複になっており避けられていますが、正しいという意見もありますのでどちらでもかまいません。
英語の賀詞→万人向け(正式には向きません)
「A Happy New Year:よい新年を」
「A Start of a New Year:新しい年の幕開け」
*上二つは「よいお年を」というニュアンスなので、クリスマスカード等に使い、年が明けてから届く年賀状には使いません。
「Happy New Year:新年おめでとう」
「May the new year be filled with happiness:今年もあなたに幸福あれ」
「New Year’s Greetings:新年のご挨拶」
これまで年賀状のマナーの中で、出来ればお届け先によって内容を変えると良いとお話させて頂いておりましたが、ステップ5では立場別の新年の挨拶の具体例をご紹介していきたいと思います。是非ご参考にしてみて下さいませ。
ビジネス、お取り引き相手への年賀状
謹んで新年のご挨拶を申し上げます
旧年中は格別のお引き立てを賜わり厚くお礼申し上げます
本年も社員一同、社業発展に専心する所存でございますので
一層のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
貴社の皆様のご多幸とご発展を心よりお祈り致します
平成二十七年 元旦
上司への年賀状
慶賀新春
日頃の親身なご指導に深く感謝申し上げます
昨年の経験を生かし今年はご期待に応えるべく精進する所存でおります
年頭にあたり本年も変わらぬご指導をお願いいたしますとともに
ご家族の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
平成二十七年 元旦
部下への年賀状
寿春
昨年中の○○君の活躍をたいへん嬉しく感じています。
今年もその頑張りでさらに大きく飛躍して下さい。
本年もよろしくお願いします。
平成二十七年 元旦
親戚、友人への年賀状
明けましておめでとうございます
昨年中は大変お世話になりました
よいお正月をお迎えのこととお慶びを申し上げます
おかげさまで、私たちも一同元気に新年を迎えることができました
今年も引き続きよろしくお願い申し上げます
この新しい年が、皆様にとって幸多きものになりますよう
心からお祈り申し上げております
平成二十七年 元旦
出し遅れたときの年賀状
新春来福
早々のご丁寧な賀状を頂きまことにありがとうございます
年末から留守にしており、不本意ながら
ご挨拶が遅れましたことを心よりお詫び申し上げます
本年もどうかよろしくお願いいたします
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
平成二十七年 新春吉日
出し遅れた時の寒中見舞い
寒中お伺い申し上げます
お年賀のご挨拶ありがとうございました
新春のご祝詞をいただきながらご挨拶が遅れ
誠に申し訳ございません
今年も変わらぬお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます
まだまだ寒い日が続きますので、皆様もどうかご自愛下さいませ
平成二十七年一月
あとがき
私からご説明させて頂いた年賀状にまつわるルールやマナーは
以上となりますが、これらのルールはただの目安にしか過ぎません。
それよりも大切なのは気持ちで、多少いびつな年賀状でも
可愛らしいものに感じたり、年賀状をくれたという事だけでも
嬉しいものだと思いますのでどんどん勇気をもって挑戦していく事で
新年から良いスタートを切っていきましょう。
この度は目を通して頂きありがとうございました!
涼風花