石川さゆりさんという歌手は、女心をさりげなく唄いつつも、グングンと盛り上げて行く表現力が凄い人です。ですから、まず、「涙つづり」はいかにこのさり気なさを出してスタートするかが最初のポイントです。

 ~だまされました 私が言えば
  似たものどうしと あなたが笑う
 これが出だしの2行ですが、ここは何もつくらずに普通に唄うことです。
 しかし、次ぎの
 ~借りもの世界が 始まりで
 は、きっちりと声を前に出していきます。特に「始まりで」では、16符音符が続きますので小気味良く唄ってください。
決して「始ま~りで」というふうに伸ばしてはいけません。
そして、
 ~くの字 登りの 坂ばかり
 ですが、この辺りからグーッと気持ちを入れていきます。気持ちが入ったら、
 ~がんばって 越えてきた
 といくわけですが、ここは自分に言い聞かせる唄って下さい。
特に「がんばって」は、少し笑うように。
ここまではさり気なく唄ったり、強くうたったりしてきましたから、笑って唄と歌に変化がでて、聴いているほうは、何だろうと聴きい入ってしまうんですね。
ここら辺りが石川さゆりさんの妙味です。

さらに、「越えてきた」の「た」のひと文字ですが、ここは軽く言葉を置く感じでさゆりさんは唄っています。ここも石川さゆりさんのニクイところですね。そして最終行の
 ~涙つづりの 夫婦道よ
 ですが、そのまま「夫婦の道よ」と、持って行くのではなく、「夫婦の」の後に少しタメを置いて、「道よ」と持っていくんです。ここら辺りの歌のつくりは、石川さゆりさんのタダモノではないところです
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